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房をばらして果実だけにした山ぶどう。

これを搾って、ジュースを作ります。



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自分は片口を使っていますが、これはちょっと小さめです。

さらしで搾ることに慣れていないと周りを汚してしまうので

ボールなど、口径の広い器を使うのが良いでしょう。



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片口にさらしをのせて、山ぶどうを適当に。

ここで欲張ると、搾るのが大変です。

そして、搾りきれずに無駄が出ます。

面倒でも回数を増やして、丁寧に搾ることをお勧めします。



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さらしで果実を包み込んで、元をしっかり捻ります。

搾ったときに果実がこぼれ出ないように。



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右手はさらしの元をしっかり握りこんでいます。

搾っている間に口が緩まないように。

そして左手の指先で、果実をそっとつぶしていきます。

ゆっくり、丁寧に。



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包み込んだ果実の全体を、おおまかにつぶしました。

ここまでは果実の感触を一粒づつ確かめるようにしながら

5本の指の腹を使って、そっとつぶした程度です。



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今度は指先に少し力を入れて搾ります。

右手でさらしを捻りこみながら

全体をまとめるように絞りこむ。


つぶして、しぼる。

という感じです。



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皮と種だけになりました。


このときの頃合いが肝心です。

力次第では、まだ搾れるのですが

それでは皮が擦り切れて雑味もでてきてしまいます。

また、さらしに種が当たって破けてしまうこともあります。


ほどよい加減。


これがちょっと難しいところかもしれません。



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最初に書いたように、いっきに沢山の果汁は得られません。

搾り取った果汁をデキャンターに移しながら

ここまでの作業を4回、5回と繰り返します。



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果汁には、果皮の成分(色素や繊維)が混じって濁っています。

野趣のある味わいでおいしいのですが、雑味も多い。


これをこのまま一晩、冷蔵庫で休ませると

色素や繊維が沈殿して、味も色も鮮烈なジュースができます。


野趣あふれる味わいも好きですが

きりりとした味わいもまた捨てがたい。


これは味わう人の好みですね。




こうしたことは、バー・ラジオでの修行時代に教わりました。

20代の半ばころ・・・今から20年以上前の話です。


バー・ラジオには、果物を使ったカクテルが沢山ありました。

とくに、搾りたての果汁とシャンパンのカクテルが人気で

いったいどれほどの果物を搾ったことでしょう。


果物は、もも・いちご・ぶどう・すいか・洋ナシ・マンゴーなど。

りんごは摩り下ろさなければならないのであまり使いませんでした。

ざくろはや山桃は、山ぶどうのように一晩寝かしてから使いました。

オレンジとグレープ・フルーツはさすがにジューサーを使っていましたが

それ以外の果物は、さらしを使って搾っていました。



毎晩、たくさんの果物を搾りました。


絞り方が下手で、師匠の尾崎さんによくしかられたものです(笑)



苺の果汁がシャツの袖に飛ぶとしみになります。

仕立ての良い白いシャツの袖に、赤い小さな点がひとつ、ふたつ。

お客さまの前にカクテルを差し出すときに恥ずかしかった。

そんな仕事には、師匠からお小言もいただきます。


君ね!もっと丁寧に仕事をしなさい。


ほらほら、君は雑だからそうやってすぐ周りを汚す!



。。。


なんとも懐かしい思い出です。


落ち着いた仕事。

丁寧な仕事。

そして、汚さない仕事。


そういうことが解るようになったのは

だいぶ年がいってからのことです。


自分が落ち着いて構えていなければ

いい仕事なんてできませんよね。




あっ!



・・・



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(苦笑)