世に雑草というけれど

これを除かなければならないのは、たぶん人間の都合でしかない。


021


庭の雑草は、作物の邪魔になるわけではない。

草によって損なうような、景観を期待するほどの庭でもない。

なのにこれを除くのは

放っておけば伸びに伸びて、抜くのが大変になるからだ。


022


こいつらも生命を張っている。

文字通り、根っこでもって、その生命を大地に張っている。

だから、ちょっとばかり申し訳ないと思うけれど

根が伸びて、抜けなくなる前に抜いてしまう。


024


ここ、と定めたところから

なるべく根を残さぬように、米粒を拾うようにして、抜いていく。


まずは背丈のあるものを抜いて

次にその下草を抜く。


周りの土も一緒に採れてしまうから

採った草ごとふるいにかけて、土を落とし、草だけにする。


草が地面を覆っていた方が土埃も立たないし、幾らかは涼しいだろうに。

そう思うのだけれど、この地面がまた草で覆われるのは

たったの1か月も経たないうちなのだから。


028


昔遊んだスノー・ボードに抜いた草と道具を積んで

陣取りをするように、じわじわと境目線を広げていく。


029


なるべくなら後ろは振り向かない方がいい。

大海原に、小舟でもって挑んでいるような気分になってしまう。


025


全部を毟り終えた後の「冷たいビール」は格別で

夕方の、涼しい風に当りながら、裸になった庭を眺めて悦に入る。


果てのない作業でも、ささやかな時間の為に、がんばれるものである。