富山の蛍烏賊と野蒜を酢味噌で。
この野蒜は、日曜日に畑の脇の土手で摘んだもの。
地中に20㎝も潜っているので、引っぱるだけでは根元まで抜けません。
小型のスコップを深々と差し込んで、土ごと持ち上げるようにします。
根を切って、洗って、さっと湯掻いて使います。
野蒜の身上は、鼻へ抜けるほどの鮮烈な辛さ。
だから、このまま味噌をつけて齧るのが一番です。
上の写真のように湯がいて使うときは、こんな具合に。
七十二候美味禮讃 (小学館刊行) 画 川口澄子 文 三浦俊幸
今を七十二候で表すと
虹始見 にじ はじめてあらわる
二十四節季では、清明の末候にあたります。
好い季節になりました。
七十二候美味禮譖
「CEL」という季刊誌があります。
この度、平凡社さんの手によってリニューアルされました。
これに、七十二候美味禮讃(小学館)の共著者である
川口澄子さんとのコンビで、挿稿させて頂きました。
こうしてまた、ご一緒させて頂けるとは、嬉しいことです。
表紙の見返しという、とても良いページを頂きました。
インターネット上でも、ご覧いただけます。
年三回の掲載予定です。
畑に生えた土筆だけでは足りません、煮て喰うには。
畑から徒歩3分のところにある、「つくし」ヶ原。
開きすぎたものは味わいに欠けるので
なるべく胞子の残っているものを選んで摘みました。
笊一杯になるまで、およそ30分。
これで摘み取った量の五分の一。 卵とじ二人分になります。
まず、袴の掃除から。
ここ、を指先でつまんで取り除きます。
こんな具合に。
写真の分量くらいなら、15分程度で済みます。
これを水ですすいで、ゴミや汚れを落とします。
そして、茹でる。
水から茹でます。 沸いたら火を止めて、そのまま30分放置。
鍋底に沈んで、すっかりおとなしくなりました。
これを流水で良く洗います。
乱暴にしないで、掌でやさしく遊ばせるように。
胞子が水に溶け出して、緑色の濁った汁が出ます。
それがなくなるまで、二度、三度と水を替えながら
ゆるやかな流水で。
これはちょっと茹ですぎた感じ。
笊に揚げて、水気を切るように、そっと絞ります。
ペーパー・タオルなどに広げて、余分な水分を除き、灰汁抜き終了。
天ぷらにするなら、30分置かず、茹でこぼしを一回洗えば良いでしょう。
調味はお好みで。
酒、砂糖、濃口しょうゆ。
出汁、みりん、薄口しょうゆ。
出汁、塩、薄口しょうゆ。
卵でとじるなら、甘辛く煮る。
胞子の苦さが甘さに溶け込んで、ほどよい具合になります。
卵は多めに。
二個使いました。
かきまぜ方も、ゆったり、ざらっと。
すると出来上がりは半熟で、ふわふわのとろとろ。
こごみの味噌汁と一緒に。
土筆煮て飯くふ夜の台所 正岡子規
夏のスギナ取りに疲れたら、この甘苦さを思い出して乗り切ろう。
そうそう。
袴を掃除するときに、指先が、こんなになります。
良く洗えばだいたい落ちますが、爪の間に入るとしばらく残ります。
男の人がやる仕事だと思います。
昨日、野菜の宅配日でした。
みなさん、無事にお手元に届きましたか?
お届けする野菜に各回ごと同封する会報は、川口澄子さんとの共著
「七十二候美味禮讃」をベースに、文章を大幅に加筆修正したものです。
宅配開始から今回までで、11号を数えます。
会報での画の使用は、共著者である川口澄子さんにご了解を頂きました。
(川口さんの画でなく、写真のときもあります)
この会報の特徴は、自分の担当であった文章に大きく修正を加えているということです。
毎日のように畑に立ってみると、執筆時には思い浮かばなかった素材(野菜)のことや
入稿時に伝えきれなかった調理方法などが、今あらためて、泉のごとく湧き出してくるのです。
南信州での毎日は、その場に居ながら七十二候を感じ取っている、という環境です。
活きた「七十二候美味禮讃」とでも申しましょうか。
さて
この会報そのものは、前日までに用意できるのですが
野菜は、当日になってみないとわからない、という難点があります。
それで会報と、お届けする野菜の顔ぶれに差が生じることがあります。
これは、実を言うと綱渡りをしているような心境なのです(苦笑)
例えば野蒜について書いた会報なのに、野蒜が手に入らなくて届けられない
というようなことが起こります。
それで、頒布会参加者の皆さんのところに、おっつけたように
あるいは野菜が届く前に
それぞれの取り扱いについての、長~いメールが届く、という次第です。
つづく
【六ばんめの味】
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